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その21 女子学生の問題ある性
問題のある性が成り立つには、ある一つの力学的な原則があるように見えます。あらゆるケースに共通なものは、根底に、家族から逃げ出したい、学業から脱したい、周りから抜け出て自分の人生を歩みたい、といった願いがあります。中でも特に共通なものは、「脱家族願望」です。相手の男性はその為の「受け皿」です。この受け皿を探すのが急であるため、問題のある形をとってしまいます。ともかく正否を決めるのは「父親との距離」ともいうべく、(本人+男性) 対 (父+家族)の力関係です。この父との距離は、精神的なものは当然ながら、経済的、空間的な距離も含めたものです。従って、父を憎むほど、父と家族の連合が弱いほど、行動化しますし、経済的に本人が自立度が高いほど成り立ちます。いろいろな意味で「父との距離」がポイントになるのであって、「性」を利用した家出がその本質に違いありません。「分裂した家族」の父−娘連合のタイプは、母への憎悪が根底にある為、父が脳出血で倒れたり、父に力の低下があると、不安に駆られるように最も激しい形を取ったりします。
○問題のある性のパターン
(1)「性」そのものの未熟。これは思春期痩せ症の女性や、未熟な女性など、神経症的色彩の強い「性」恐怖のパターンである。母拒否の性格を基本におく。
(2)ある年齢で未熟さのある女性が、頼んでSEXを求める。コンプレックスを形の上で性を得て解決しようとするようなタイプ。車で誘ったり、費用を全部持ったり、結局遊ばれ、相手は自身を付け、他に乗り換えてゆく。
(3)精神的成長より先行してSEXを覚える。心的な「娘」→「女」より、性的にのみ女性化が先行する。このタイプでは、SEXが入ると女性の場合は必ず学業を放棄し、学生というのは見せかけだけの事になる。父が無力な人が多い。
(4)母拒否強くアニムス的(男性的女性)で女性嫌い。自己確認を男性に求める。自信なく閉ざされたタイプで対人不安がある。親しみ愛する方法を性以外に知らない。自分を認めてくれる、愛してくれている相手がいることが、自己の存在確認となる。そうやって、男狩りのように転々する。同棲なども繰り返す。だんだん自信を持つ。父とは連合している事が多いが、両価的になってゆく。
(5)強い脱家族願望型。はじめ「分裂した家族」のタイプの父−娘連合であったのが、父から脱出し始めるというのが多い。そして家族全体への忌避がポイントになってくる。父に両価的(愛と憎悪などの相反感情の併存)になったものが最も歪んだ形の性になりやすく、脱出を急ぎ、何か不安が強い。急ぎの受け皿としての男性を求める。
抜粋:「キャンパスの症状群」 弘文堂 1300円 山田 和夫 著
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