その2 経済学の欠点
一般に不況対策としては、政府支出増加の乗数効果の方が、減税の乗数効果よりも大きい事が知られていますから、株価が大暴落した時などは、大土木事業に着手するわけです。しかし普通の人間から見た場合、何で不況のこの時期にそういう大がかりな事をするのだろうかと素朴に疑問に思ってしまうわけで、当の私もそうでした。昔は不況になれば、首切りをするとか、事業を縮小するとか、賃金を減らすとかが、一般の政策でしたが、現代においては不況になれば投資をする、また不況になれば更に投資をするといった具合に、一体、資源を全て使い果したその暁(あかつき)には、何が待っているのだろうと思ってしまいます。最後には必ず破綻を来たすでしょう。何故なら使用できる資源には限界があるからです。つまり○○派経済学とは、資源が無限にあるということを大前提においているわけです。
近代初期、ヨーロッパの人々がオーストラリア開拓に向かった時、羊毛としての羊を沢山持ち込みました。当然そのごちそうを狙って、野性の狼が羊を食い殺すわけですが、それを阻止する為に入植者は狼を銃で手当たり次第に撃ち殺しました。お蔭で狼は一匹残らず死に絶えたのですが、天敵のいなくなった羊はどんどん繁殖し、ありとあらゆる地面の草を食い尽くし、結局羊自体、絶滅してしまいました。
よく経済学者は、失業者を減らす目的で、投資を促しては8時間ミッチリ働かそうとするわけですが、一体、どういう考えからそういう理論が出てくるのでしょうか。これは後で詳しく話そうと思うのですが、別に投資、投資と喚(わめ)かなくても、一日4時間だけ働きたいとか、或いは5時間だけ働きたいとかいう人もいるわけですから、無理に事業を拡大しなくても、就労時間を自由に選択できるシステムを整えれば、それで大半の失業者は吸収できる筈です。
○○○○は、○○論の中で、しきりに流れ作業による生産の効率化を訴えていますが、それを人間疎外と呼ばずして、何と呼ぶでしょう。昔、私が家庭教師をしていた時に、よく生徒から言われたものです。どうして乞食は働かないのかと。そこで私はこう答えました。「日本人はただ会社の利益をあげること、金儲けをすることだけが正しいと信じて自然を破壊し、海を汚し、大気中に排ガスを撒き散らして地球を汚染した。その結果、オゾン層は破壊され、炭酸ガスの濃度は上昇し、異常気象をもたらした。ひょっとしたら、彼らはポリシーをもって、そんな今の社会に警鐘を鳴らしているのかもしれない。地球をここまで痛めつけてきた我々に、はたして彼らを批判をする事が出来るだろうか。」と。資源を全て使い果した先に行き着くものは、”滅亡”である事を決して忘れてはいけません。
参考図書:「入門 マクロ経済学 第3版」 中谷 巌 著 日本評論社 3,502円
(尚、この論文には、一部間違いが指摘されております。ここでは主として利潤追求
理論であるミクロ経済学について論じたものであり、経済学そのものを否定している
事ではない事を、予めご了承下さい。)
<掲示板より抜粋>
>つまり○○派経済学とは、資源が無限にあるということを大前提においている
>わけです。
そんなことは絶対にありえません.
経済学は,「資源の希少性」に対処するための学問です.
人間の欲望は無限であるのに対し,資源は有限である.
その限りある資源を有効に使うための学問が,経済学です.
(※ 詳しくは掲示板をご覧下さい。)
(※ 補足)
・ミクロ経済学
各々が個々の満足を追求すれば、需要と供給の関係により 「神の見えざる手」 に導かれ、
高効率が達成されるという、規制や管理を嫌う自由主義的経済理論。
・ マクロ経済学
限りある資源を有効に使う為、地球規模的な視点から経済の動きを捉えようとする包括的経済理論。
どちらかといえば、統制計画的な面があるかもしれない。
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