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その3 子供への投資

企業への投資が株式です。つまり企業と言えど、創業当初から上場としての競争力は無いないわけで、それ相応の援助が必要になります。だからと言って、伸びるかどうかも分からない会社へむやみやたらにお金をつぎ込むお人好しはいないでしょう。それでは逆に、ある程度の成長と競争力を勝ち得るまで全ての企業一律に補助金を出した場合はどうでしょうか。質のよい物だけが生き残り、悪いものは消滅するという自然淘汰の原則は、市場経済に限らず万物に共通する法則ですから、下手な平等論を持ち込めば益々経済の不効率と停滞をもたらす事になってしまいます。

相当の布石を敷いておかなければ企業は育たない、かといって見当違いな所へ注ぎ込めば無駄遣いになる、このジレンマを解決するシステムが株式投資というわけです。即ち企業プロフィールを公開すれば、これから伸びる質の良い企業に財政的な援助をする目安になるし、先々その企業が大きくなれば、それ相応の報酬を支払おうというものです。

今大学の授業料が国公、私立に限らず年々値上げされているそうですが、まず問題になるのはその教育費の不効率です。子供は未知なる可能性を秘めていますから、単なる偏差値の割り振りだけで教育環境を差別化すると、後々厄介な事になります。かといって、どうしようもないボンボンに金ばかり掛けるのもどうでしょうか。実際、高い教育費を掛けて有名大学を卒業した人間が、元を返すだけの波及効果を生むかといえば、これが全く当てになりません。それを補う目的で奨学金制度があるものの、本来なら才能があるにも関わらず、財政的理由で進学が困難な学生の為に設けられたこの制度も、実際はテストや偏差値だけの単一的なボーダーで選別が行われ、一向に成果を上げていないのが現実です。

結局一番問題なのは、教育費の投資が自分の子供だけに限られているという事でしょう。いくら子供に見込みが無いと分かっていても、ほかに投資先は無いわけですし、逆に、いくら才能があったとしても、親が貧しいとか、仲が悪いといった場合、満足な投資も受けられない、従って、日本の教育費問題に関する限り自然淘汰の原則がうまく働かないわけです。そこで私は考えたのですが、いっそのこと学生にも自己紹介による教育費の公募制を取り入れてみてはどうでしょう。つまり、学生のプロフィールをいつでも閲覧できるようにして援助金を募り、もしその学生が将来社会に出て余剰利益を産み出せば、その見返りを報酬として支払うというものです。これは西欧では教会に当たるでしょう。教会を中心としたコミュニティーを通して、できる子供に進学の援助をする事があります。また政府は、有能な人材を輩出した組織に、交付金を支給したりもしています。今の日本には、こういうのはあまり無いと思います。


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